運命のヒト

しっかり受け止めなくちゃいけない。何を聞いても。


「うん……話して」


風が吹き、空き缶がカラカラと乾いた音をたてながら地面を転がっていく。

近くのコンビニの店員が、店の前をホウキで掃いている。


そのとても現実的な、早朝の街の光景の中で



「……映画の主人公は、ひとりの若い男なんだ」



シロが語り始めたのは、科学の範囲を超えた、切ない物語だった。

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