運命のヒト
「そいつは、どこにでもいる普通の男。いや、普通よりちょっとだけイケメンかな」
わざとおどけてみせるシロ。
それがよけいに、この後の話の深刻さを感じさせる。
「男はそれなりに恋愛もしたし、友達もいて、仕事もしてた。でも、男の人生はつまらないものだった」
「……どうして?」
「色々あったんだよ。美園だって、生きていれば色々あるだろ?」
……たしかに。
「そんなある日、男に大事件が起きたんだ」