運命のヒト
だけど、シロはとりあわなかった。
「もちろん最初はただの夢だと思ったよ」
そう言って静かに微笑むと、先を続けた。
「男はそこで、ひとりの女の子に出逢ったんだ。
真っ赤なランドセルを背負った、可愛い女の子……」
あたしは息を飲んだ。
それって、まさか。
「他の小学生たちは友達や兄弟と一緒に下校してるのに、内気なその子はひとりぼっちだった。
男は女の子に話しかけ、友達になった。歳は10以上も離れていたけど、すぐに仲良くなれた。
……母親がいなかったんだよ。その子も、男も」