運命のヒト
「だけど女の子は、男のことを覚えてはいなかった。
きっと、“あるべき存在”じゃない者の記憶は、すぐに消えてしまうんだ。
男はそう悟ったと同時に、これが夢じゃないことを受け入れた。
……それからも男は、時を飛び越えてその子に出逢った。何度も、何度も。
そのたびに女の子の方は成長し、そして、男を忘れていたけど」
シロはそこで一度言葉を切ると、あたしの涙を指でぬぐった。
「こーら、なに泣いてんの。泣く必要ないじゃん。ただの三流映画のあらすじなんだから」