運命のヒト


「とうとう帰らなきゃいけない時が来た。
男はもとの時間に戻り、二度と彼女に出逢うことはないはずだった。

……なのに、失敗したんだ」


え?



「2012年の冬に行ってしまった」



その言葉の意味を、あたしはすぐに理解できなかった。

まるで理解することを拒むように、一瞬、頭がストップした。


壊れかけのコンピューターのように、遅すぎる速度で脳が情報を処理していく。

そして、じわじわと押し寄せてきたのは、恐ろしいほどの衝撃。



2012年の冬――それは、今だ。

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