運命のヒト

だって、ヒロインのエリーズは

未来からやってきた運命の人にこのセリフを告げたんだから……。


「昔、あの映画をあたしに薦めてくれたのは……シロだったんだね」

「……お前、なんで? 記憶は消えるはずなのに」

シロの瞳が戸惑いで揺れる。

あたしは濡れた頬を持ち上げて言った。


「うん、覚えてない。ただ、そんな気がするんだ」

ワケもなくこの映画に惹かれたのは、きっとシロの影響だったんだって……。


「ねぇ、あたし、覚えてなくてもわかるよ。
あたしは、シロと出逢うたびに何度でも恋をしてきた。そうでしょう?」
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