運命のヒト

最初はそっと。徐々に押しあてるように。何度も何度も口づけを交わす。

その間もシロの手は髪をなでたり、頬をなぞったりしてくれた。

あたしの緊張を解くための手の動きは、しだいにあたしの欲情を引き出すための動きに変わり、そのころにはキスもすっかり深くなって、お互いの舌をむさぼっていた。


シロの手がそっとあたしの胸に触れた。

とっさに声を押し殺すと、それを許さないというようにシロは首筋に舌を這わせた。

体中に力が入るような、だけど力が抜けていくような、不思議な感覚が襲ってくる。


自分でも今まで知らなかった強すぎる情欲にとまどいを覚え、あぁそうか、これは、あたしが彼を愛しているからなんだ、と思った。


「シロ……、好きっ、好き……」

うわごとのように繰り返しながら、シロの背中に腕をまわした。