運命のヒト
時がふたりを別つまで
教会は、林の奥に建っていた。
外国の絵本に出てくるような、白い石造りの小さな建物。
所々ひび割れた壁は中世を連想させる。
銀色の雨の中、ひっそりと佇むその美しい姿に、あたしたちは感嘆のため息をもらした。
鍵はかかっていなかった。
そっと扉を押し開けながら「すみませーん」と遠慮がちに呼んでみたけど、人の気配はない。
中は薄墨を塗ったように、ほの暗く静まり返っている。
左右に3列ずつ並んだ長椅子。
その奥に焦茶色の祭壇と、十字架。