運命のヒト
……なんで、彼がここにいるの?
偶然?
いや、そんなまさか。
言葉も出ないあたしの横で、沢村さんが食ってかかる。
「またお前かっ……! 関係ないヤツは黙ってろ、俺は美園を愛し――」
「ホントに? 一緒に責任を負わせたいだけだろ? 奥さんに逃げられたとき、拠り所が欲しいだけだろ?」
的確すぎる指摘は、反論を許さなかった。
沢村さんが気圧された隙に、彼はあたしの手をつかんだ。
そして。
「その程度しか美園を想ってないなら、俺がもらう」
その言葉と同時に、あたしを連れ去った。