運命のヒト

――9年前。


「まだ付き合わないの?」

当時、わたしは友人に会うたびに、この言葉をかけられていた。


「へ? 誰と?」

「もう~、またとぼけちゃって。大我くんに決まってるでしょ」

「そうだよ美園。とっくに付き合ってるかと思えば、全然進展してないしさぁ」

「彼の方から付き合おうって言われたことはないの?」

「……ないよ」


はぁぁぁ~、と大仰にため息をつく友人たち。

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