運命のヒト
その年の冬は例年より寒かった。
25歳の誕生日の前日、わたしは風邪でダウンして仕事を休んだ。
一日じゅう寝こみ、目が覚めたのは夜。
ひんやりした感触をオデコに感じて、まぶたを開けた。
「……大我」
仕事を終えた彼が様子を見に来てくれていた。
当時、すでにわたしは彼に合鍵を渡していたのだ。
そんなんだから周囲もよけい、「なんで付き合わないの?」と不思議だったんだろう。
「熱、下がったか?」
「ん……。どうだろう、計ってないから」