運命のヒト
「何なのよ一体! 置き去りにするとか、どうゆうつもり? てゆーか、わざわざあたしに頼まなくても、この女に泊めてもらえばいいでしょ! じゃあね!」
一気にまくしたてると、その人はロングヘアを大きく揺らして去っていった。見事な迫力。
あたしは唖然としてしまった。
「……追いかけなくていいの?」
心配になって尋ねると、彼は両手を頭の後ろで組み、面倒くさそうに答えた。
「別にいーよ。声かけてきたのはアッチだし、寝るとこ提供してくれるって言うから俺も付き合っただけだし」
「え?」
寝るとこ提供、って……。
もしかして、家がないってこと?
そういえば昨夜も、寒空の下、公園のベンチなんかにいた。
じゃあ、さっきの女の人を怒らせたから、今日泊まるところを失ったってことだよね?
あたしを助けたせいで……。