運命のヒト

もしかしたら、彼も同じように何かを感じていたのかもしれない。

わたしが熱を計っている間、彼は携帯に充電器を差しこんだり、電源が入らないか試していたけど、まったく反応はなかった。


「完全に壊れてるな」

彼がぽつりと言った。


そして、わたしたちはしばらく黙りこんで見つめていた。

永遠の眠りについたような、その白い携帯を。


「……夢を」

「え?」

「夢を、見てた気がする……」

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