運命のヒト
epilogue
目的地に着いた。
車を降りて、トランクから荷物を出し始める夫。
後部座席にいるわたしは、隣に優しく声をかける。
すやすや寝息をたてて眠っている――最愛の息子に。
「着いたよ、起きて」
もう7歳になるというのに、寝顔は赤ん坊のころから変わらない。
揺り起すと、息子のまぶたが動いた。
産毛のように柔らかい髪が、寝ぐせであっちこっちを向いている。