運命のヒト

その瞬間。罪悪感と、同情と、自分でも不思議だけど何かしてあげたいという気持ちが湧きあがり、

「あのっ……!」

あたしは、ほぼ衝動的に言ってしまった。


「う、うちに泊まるっ?」


その言葉を聞いて彼が目を見開く。

少しだけ固まって、それから肩をすくめ、ヘラっと笑った。


「何言ってんの。てか、男に軽々しくそんなこと言うなよ」


口調はやさしいけど諫めるような声に、あたしはとたんにバツが悪くなった。


「軽々しくなんて……」

言ってないよ。

って、言いたいけど。やっぱり軽々しいのかもしれない。


でも……。
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