運命のヒト

それでね、パパとママもいたの。今よりずっと若くて、お兄さんとお姉さんみたいだったけど」


「……え?」


「どこかの部屋で、3人でゴハン食べて笑ってたんだ」


一瞬、あたたかい光が脳裏をかすめた。



「すっごく楽しくてね。
それでボク、なんだかよく知らない言葉だけど、“うんめい”だなぁって思ったの。

パパも、ママも、どっちも。
ボクの“運命のふたり”だなぁって」



――…はらはらと、息子の顔に雫が落ちた。

< 411 / 415 >

この作品をシェア

pagetop