運命のヒト

「そんなことより、忙しくてもちゃんとゴハンは食べてね。お父さんももう歳なんだから」

「了解。美園の言う通りにするよ」


電話を切ると、あたしはダイニングテーブルに携帯を置き、コンロのやかんに火をつけた。

それからインスタントコーヒーの粉をスプーンですくっていると、ふと視線を感じた。


シロがラグマットにうつ伏せになり、頬杖をついてこちらを見ていた。


「おはよ」


ドキン、と胸が鳴る。


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