運命のヒト
あたしはホッとして、ジャングルジムに駆け寄った。
「うん、いーの。大我だし。あ、腐れ縁のバカの名前ね」
「ひでー」
シロは笑いながらジャングルジムを2段下りると、そこから身軽な動作で飛び降りた。
服についた砂埃をパンパンと払い、ポケットに手を入れる。
「いいじゃん、腐れ縁。幼なじみってやつだろ?」
「そんないいもんじゃないよ。昔はあたし、そいつによくイジめられたし。ミソラーメンとか変なあだ名つけられて最悪だったんだよ」
ガキ大将時代の大我を思い出し、顔をしかめるあたし。
まぁ、あの頃の大我は今みたいにスカしてない分、可愛げがあったともいえるけど。
「ははっ。小3の頃だろ? そんくらいの男ってのは、好きな女の子にあだ名とか付けてイジめちゃうからなー」
「ないないないっ。そんな純情キャラじゃないから、アイツ」
きっぱり完全否定するあたしを、シロがおかしそうに笑った。