運命のヒト
はたから見ればあたしたちはきっと幸せそのものの光景だっただろう、けど。
『そういえば美穂子が小学生のころは、絵本をよく買ってあげたなぁ』
『そうそう、ぬいぐるみも好きだったわよね』
『美園ちゃんも、ぬいぐるみにする?』
……どうして、おじいちゃんとおばあちゃんは、あたしといるのに“美穂子さん”の話ばかりするんだろう。
6歳のあたしにはその理由も、“美穂子”が死んだお母さんの名前だということも、まだ理解できていなかった。