運命のヒト
理解はできなくても、子ども心に生まれた反発心が、とっさの行動に現れたんだと思う。
『ううん。これがいい。これ、買って』
あたしが手に取ったのは、一冊の分厚いノートだった。
浅黄色のシンプルな表紙に、普通のノートの3冊分はありそうな厚み。
6歳の子どもが欲しがるにしては、少々大人びていたとは思う。
『そんなものがいいの?』
『うん』
『美穂子とはずいぶん違うんだねぇ』
祖父母のガッカリした顔に、あたしはみるみる満足した。