運命のヒト

理解はできなくても、子ども心に生まれた反発心が、とっさの行動に現れたんだと思う。


『ううん。これがいい。これ、買って』


あたしが手に取ったのは、一冊の分厚いノートだった。

浅黄色のシンプルな表紙に、普通のノートの3冊分はありそうな厚み。

6歳の子どもが欲しがるにしては、少々大人びていたとは思う。


『そんなものがいいの?』

『うん』

『美穂子とはずいぶん違うんだねぇ』


祖父母のガッカリした顔に、あたしはみるみる満足した。

< 95 / 415 >

この作品をシェア

pagetop