運命のヒト
「し、資料取ってきます!」
あたしは反射的に立ち上がり、その場から逃げた。
「はぁ」
狭苦しい資料室の棚にもたれ、ため息を吐き出す。
沢村さんと別れて4日目。彼の態度は相変わらずだ。
早くここの契約が切れないかなぁ……。そんなことを思いながら、腕時計に視線を落とした。
午後2時。シロは、今ごろ家で何をしているんだろう。
昨日は日曜であたしも一緒にいたから、平日に彼を残して仕事に来たのは初めてだ。