幸せを運ぶ堕天使
 


天界から追放されて一週間が経った。


俺は天界で仕事をするとき必ず人間界に来ていたため、お金の稼ぎ方やアルバイト年齢などは把握している。


だからこの一週間は苦ではなく、むしろ楽しかった、充実していた。


ちなみに俺に生えている、純白から漆黒へと変わってしまった堕天使の証である翼はどういう訳か人間には見えていないらしい。


俺が天界で仕事をしていた時は翼はおろか、姿さえ見えなかったから今回のようなことには少し困惑していたりする。


都合がいいといえばいいのかもしれないが。


そんな俺は今、ファミレスで優雅にコーヒータイムだ。


天界人は一種の娯楽として食事を楽しむが、自分から進んで食べる天使などいない。

空腹など感じたことがないのだ。

だからこうやってコーヒーを飲む日が来るなんて思いもしなかった。


どうやらコーヒーには種類が沢山あるらしい。

カフェオレから無糖のブラックまで様々だ。

俺にはカフェオレがぴったりだった。


そして服のポケットから新しく買った…スマートフォン?だっけ、それを慣れない手で操作する。


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