幸せを運ぶ堕天使
 



何か特別なことがあると、日は時間のように過ぎるのが早いもので。


今日は俺にとって特別な日となる。


「新入生の皆さんは右側の道を行ってくださーい」


「保護者の方は名簿に名前をお願いします」


「すっごい緊張する………」


そう、今日は私立の入学式。


あれから約4ヶ月が経ったのだ。


受験日、学生服は大家さんの息子さんが使っていたという学ランのお下がりで、俺は学生を演じていた。


しかし…
俺が学生服を着ていて違和感はなかったのかな…


うん、またちょっと悲しい。

俺約100年生きてるのに。


いや、容姿は死にそうなおじいちゃんじゃなくて、人間界の16歳と全く変わらないけれども。


…何だ、この複雑な気持ち。


ともかく!


今日、新しい門出を迎えた俺は私立京藍高校の制服を身にまとい、満開の桜の木の下を歩く。


成績表とか細かい設定はどうかしたかって?
気にするな、気にしたら俺がお前を地獄に連れてくぞ。


そして俺は京藍高校の敷地に足を踏み入れた。

…あぁ、緊張してきた………。

何がって?
< 13 / 27 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop