天使な悪魔と不死身の僕。
「私はからかってなどいない!証拠など、お前の傷を治しただろう!」
「あいにく、傷を治せる位で信じられないよ」
何故、この人は僕に信じてもらいたいのか。
この時の僕はまだ分からなかった。
「………だったら、これでどうだ」
凛とした、だけども重く息苦しい空気が僕と女の子を包み込む。
すると、女の子の足下に大きな、ゲームなどで出てくる魔法陣のようなものが現れ、黒い空気が女の子を中心に渦を巻く。
「くっ………」
風が強くなり、吹き飛ばされそうになるのを踏ん張ってると、バサァッという大きな音が聞こえ、旋風が幾つも出来、僕の目の前に信じられない光景が現れた。
黒い角のようなものが生え、背中には大きく黒い翼を付けた女の子が、大きな剣を持ってこっちを見ていた。
「結局、信じる信じないはお前の勝手だが、悪魔は存在する」
あまりの衝撃に声が出ない。
冷や汗が伝い、その場にへたり込む。
「信じる、けどさ……。なんで僕のところにきたわけ……?」
「お前の、欲望に呼ばれた」
「欲望?………」
僕なんかに欲望なんか……
「“死にたい”という欲望に、私は呼ばれた」
「待ってよ!君、さっき僕に死ぬな的なこと言ってたでしょ?なのに何で?悪魔って、願いを叶えてくれるもんじゃないの?!」
「落ち着け。確かに悪魔は契約で願いを叶えてやることは出来る。だが、それはあくまで対等な契約が出来た時だけ。つまりお前が私の望む物を叶えた時だけだ」
「望む物って、なんだよ」