§魂呼びの桜§ 【平安編】
これも、お前の神秘の力なの
けれど、わたくしの想いを叶えてはくれなかったわね……
そう言うと、藤壺の赤く濁った瞳が怪しい光を灯した。
どうして
どうして、あまたの恋人たちの幸せを叶えてあげたお前が、わたくしの想いは叶えてくれなかったの
ずっと、信じていたのに……
ずっと……
そうね
お前さえいなければ、わたくしも諦めがついていた
お前がいたばかりに、わたくしは要らぬ期待をしてしまったのだわ!