§魂呼びの桜§ 【平安編】
その日の午後、継母は気分良く帰って来た。


そして姫に、いかに良い湯治場であったかを語った。



明日は必ず姫もご一緒に……



そう言われて、姫は浅い笑みと共に頷いた。


そして、気になっていたことを母に尋ねた。



母上さま

このお寺には、わたくしたちのほかにどなたかお泊りですか



母は隣に控えている女房に問うた。


女房はしたり顔で



はい

ウノオトド
右大臣さまのご子息

サコンノショウショウ
左近少将さまがやはり湯治でおいでになっているとか……



と答えたのだった。


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