§魂呼びの桜§ 【平安編】
短くも激しい睦み事を終え、少将と才媛と評判の女房は深い余韻の中にいた。



少将が元服を終えてすぐから、彼らは逢瀬を重ねてきた。



ふた月、三月、時には半年もその逢瀬が間遠になったとしても、二人の関係は続いている。



お互い刺激を求めるだけの存在。



けれど会っている間は恋をしていた。




もう……行かねばなりませんわ……





ゆっくり身を起こし、未だ夢現な少将に女房は囁いた。





せっかく会えたのに、もう行くの





頼りなげな声で甘える少将の頬に、女房は優しく口付けた。





またお会いできますわ

それまで……

他の女人にお通いになっては、いやよ



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