§魂呼びの桜§ 【平安編】
姫の懇願むなしく、継母がそれ以上言を重ねることはなかった。



初めての拒絶。



初めて感じた継母との隔たり。



今の揺らぎやすい姫の心は、そんなことでもたやすく闇へと堕ちていく。







誰も




わたくしの気持ちを知ろうとはしてくれない




わたくしを何かの形代としか思うていない




でも、少将さまは……




あの方は、わたくしにまた会おうと仰ってくださった





かならず来てくださるに違いない





早くわたくしを攫ってくださいませ……







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