§魂呼びの桜§ 【平安編】
思わぬことに、女御は身を震わせた。



少将が彼女を見つめている。



その視線が御簾を通り抜け、女御の体を縛り付ける。



幾重にも幾重にも……。



荒縄を巻かれるような息苦しさを彼女は感じていた。






女御……

いかがされました





帝が怪訝そうに尋ねた。



はっと少将を見つめていた視線を外し、帝を見る。






ご気分でも……お悪いのですか……






帝が本当に自分を案じているのを感じ、女御は申し訳なさで身を小さくさせた。







< 68 / 126 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop