§魂呼びの桜§ 【平安編】
けれど、どうしようもなく



心に溜まっていたものが溢れ出てしまった。






月を

愛でるのはお好きですか






帝が驚いたようにこちらを見たのがわかる。



しかし止められない。





月の明るい夜に

そぞろ歩きなどなさいますか





必死に言い募る女御を、少将は静かに見返している。



その瞳の中には、一欠けらの動揺も見られない。



なんの感情も読み取れない表情。



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