§魂呼びの桜§ 【平安編】
女房は驚愕に目を見開いた。
そ、それはまことにございますか
擦れた声で問う女房を見ることもなく、麗景殿は一歩一歩御帳台へと近付いていく。
麗景殿さま
皇后の所作には礼節などあったものではなく、皇后は断りもなく御簾をからげ御帳台へと上った。
なんとこのような大事に、安らかな顔をして眠っておられることよ
皇后さま、どうぞお控えくださいませ
中宮さまは、おややを授かって以来体調を崩されておられるのです
どうぞ、どうぞ……