§魂呼びの桜§ 【平安編】
物の怪はまた、くすくすと笑い始める。
そのご交遊の果てに、あなたさまはもっとも手を出してはならぬ女人に近付いた
そう、その時はご存知ではなかった
けれど後から気が付いた
“月読の姫”が、左大臣の姫であることに!
ヒーヒッヒッヒッ!
黙れ
右大将は物の怪を止めようと飛びついた。
しかし思わぬ力で振り払われる。
床にもんどりうって倒れた右大将は、すばやく起き上がり、懐剣をすらりと抜いた。
そして再び物の怪に飛びかかろうとした時だった。