あなた色に染まりたい



数日後、あたしの誕生日がやってきた。


蓮と初めて二人きりで過ごす誕生日。


こんなふうに、彼氏と二人で誕生日を過ごせる日がやって来るなんて、思わなかった。


午後まで講義があったから、夕方から出かけた。


時間も時間だし、遠出は無理ってことで、近くの水族館へ行くことにした。


大きな水槽を自由に泳ぐ魚たちを見たり……


イルカやアシカのショーを見たり……


凄く、癒された。




九月も終わりになれば日も短くなり、外へ出た時には、もう日が沈みかけていた。


オレンジに染まった空を見て……




『来年の紗羽の誕生日も一緒に過ごそうな』


『うん!また夕日も一緒に見ようね』


『あぁ…』




そんな会話をして、キスをかわした……


あの時の幸せな記憶が、よみがえってきた。


< 129 / 423 >

この作品をシェア

pagetop