あなた色に染まりたい
「この夕日、思い出しちゃって……」
「ん。」
「来年も一緒に見ようねって……」
「ん。」
「来年も一緒に過ごそうねって……」
「ん。」
「あたし、もう大丈夫だったのに……何で?」
あたしの話に、ただ相づちを打っていただけの蓮が、優しい笑みを浮かべながら口を開く。
「紗羽、いいんじゃねぇ、思い出しても。」
え……
予想外のことを言われて、うつむいていた顔をパッとあげた。
「俺、前に言ったじゃん。泣いて泣いて泣いて泣いて……すべて流しちゃえばいいって。すっきりするまで泣いちゃえばいいって。」
うん、言ってくれた。
この言葉にどれだけ救われたかわからない。
でも……
「あの時は、蓮とは友達だったから……でも今は、恋人でしょ?元彼のことで泣いてる彼女なんて、最悪だよ。」
「うーん、まぁ確かにちょっと複雑だけど、俺が自分自身で選んだ道だから。」