あなた色に染まりたい


「この夕日、思い出しちゃって……」


「ん。」


「来年も一緒に見ようねって……」


「ん。」


「来年も一緒に過ごそうねって……」


「ん。」


「あたし、もう大丈夫だったのに……何で?」




あたしの話に、ただ相づちを打っていただけの蓮が、優しい笑みを浮かべながら口を開く。




「紗羽、いいんじゃねぇ、思い出しても。」




え……


予想外のことを言われて、うつむいていた顔をパッとあげた。




「俺、前に言ったじゃん。泣いて泣いて泣いて泣いて……すべて流しちゃえばいいって。すっきりするまで泣いちゃえばいいって。」




うん、言ってくれた。


この言葉にどれだけ救われたかわからない。


でも……




「あの時は、蓮とは友達だったから……でも今は、恋人でしょ?元彼のことで泣いてる彼女なんて、最悪だよ。」


「うーん、まぁ確かにちょっと複雑だけど、俺が自分自身で選んだ道だから。」


< 131 / 423 >

この作品をシェア

pagetop