あなた色に染まりたい
ガラッ……
後ろで窓の開く音がする。
「紗羽……大丈夫か?」
蓮……
どうしよう……
「泣いてんの?」
「蓮……」
蓮は心配そうに顔を覗き込んできて……、そんな蓮の顔を見ていたら、さらに涙が溢れてきて……
そのまま、蓮の胸に飛び込んだ。
蓮は何も聞かずに、あたしが泣き止むまで、優しく抱き締めてくれていた。
「さむ……」
涙が止まって、少し落ち着いたら寒くなってきた。
「中に入るか?」
やさしい声でそう言った蓮を見上げる。
「蓮……明日帰ったらちゃんと話すから。」
「ん……」
部屋に入ると、美香は酔い潰れて寝ているし、悟と晴希は二人で熱く語り合っていた。
「あ、蓮……おまえはどう思うよ?人妻って。」
悟がこっちに視線を移すなり、そう声をかけてきたけれど……
熱く語っていた内容が、それ?
あたし、気まずいじゃん……
「人妻っすか?んーでも、好きになったら止められないですからね。」
チラッと晴希を見ると、晴希もこっちを見てて……目が合った。
すぐにそらしてしまったけれど……
この話題は、かなり気まずい。