あなた色に染まりたい
真実
アパートの部屋のいつもの位置で、蓮の肩に頭を預けながら、大輝のことを何から話そうかと頭を悩ませていた。
蓮は何も聞かないし、何も言わない。
あたしから話すのを待っててくれている。
「蓮……」
「ん?」
「あたしね、ドキドキしたの……」
「え……」
「大輝に会った時……」
「……」
「大輝に……じゃなくて、蓮に……」
「え?」
蓮は予想外の言葉だったのか、目を見開いて驚いている。
「蓮は……大輝があたしに会いに来て、どう思ってるんだろう……とか、あっさり手を離されたらどうしよう……とか、不安でドキドキした。」
「紗羽……」
あたしの言葉に、蓮は安心させてくれるかのように、目を細める。
そんなやさしい表情の蓮に、あたしの胸がトクンと音をたてた。
そのおかげで、次の言葉が出やすくなる。
「……大輝についていった時、大輝は何か言い訳をしてくるんだろうなぁ……とか、どんな言い訳をするんだろう……って思ってた。」
「うん……」