あなた色に染まりたい
あれから数日経ったけれど、あたしはいつも心ここにあらずで、ボーッと過ごしていた。
みんなが気を遣ってくれているのが、わかっていたけれど、それにこたえることもできなくて……
蓮も変わらず接してくれるけれど、あたしの心がついていかなくて……
講義が終わって、晴希と二人で食堂へ向かっていた時……
少し前方から、こっちへと向かってくる人……
ドキドキドキドキ……
隣を歩く晴希も、その存在に気付き、呟くように声を漏らす。
「大輝さん……」
「今日は紗羽と晴希の二人だけか?」
晴希の声が聞こえたのか聞こえなかったのかは、定かではないけれど、大輝が口を開いた。
「同じ講義だったんで……今からみんなと会いますけど。」
二人が話しているのを、どこか遠くで聞いているような……そんな感覚になった。
大輝は、あたしに会いに来たんだよね……?
あの約束を思い出したか、確かめに来たんだよね……?