あなた色に染まりたい
「紗羽……」
静かに放たれた声に、顔を上げると、近づいてくる大輝の顔……
キス……?
とっさに顔をそらした。
「紗羽」
大輝が悲しそうな顔をするから、胸が痛くなった。
この表情、気持ちが揺れそうになる……
でも、ちゃんとあたしの想いを伝えなきゃと、口を開く。
「あたし、今は彼のことが好きだから……大輝のこと、受け入れられない」
「……」
大輝は、あたしがこの二年、どんなに辛い想いをして過ごしてきたか知らないから……
蓮にどれだけ支えてもらったか知らないから……
「そんな簡単に、答えを出すな」
大輝はそれだけを口にすると、あたしの顎をつかんで、キスをしてきた。
「……んっ…ゃ……」