あなた色に染まりたい
アルコールとおつまみをたっぷり買い込んで、悟の車で悟のアパートへ向かった。
向かっている途中、車の窓から何度ピンクを見ただろう。
見るたびに胸が痛くなって、涙が出そうになる。
今頃大輝はどうしているんだろう……
あたしのことなんか忘れてるんだろうなぁ……
あ、ヤバッ…
涙が出てきた。
「紗羽さん?」
隣に座っている蓮くんが、あたしの顔を覗き込んできた。
「……」
「泣いてるの?」
「ん……大丈夫」
必死に、涙を隠す。
「紗羽、どうした?」
異変に気付いたのか、助手席に座る美香がこっちを振り返った。
「ごめ……やっぱり、我慢できないっ」
出会って間もない蓮くんがいたけれど、もう涙を我慢することができなかった。
「…う……くっ…」
ミュールを脱いで、体育座りするようにシートに足を乗せ、膝に顔を埋めて泣いた。