あなた色に染まりたい

「紗羽、ちゃんと言って？言わねぇとわかんねぇ」




こんなこと言ったら、蓮に嫌われちゃう。


あたしから離れていっちゃう。




ヤダ……


ヤダ……


ヤダ――…




「紗羽」




何も言いたくなくて、首を大きく横に振った。




「紗羽？」




蓮の両手があたしの頬を優しく包む。


涙が勢いを増して、ポロポロと溢れてきた。




「何で言えない？」


「蓮に、嫌われちゃう……蓮が、あたしから……離れていっちゃう」


「俺、紗羽のこと嫌いにならねぇよ……紗羽から離れていかねぇよ」



蓮はそう言うけれど……


そんなの、わかんないじゃん。




「……」


「紗羽？」




怖くて、言えないよ……




蓮はあたしを優しく抱き締めた。


あたしも蓮の背中に手を回して、ギュッと抱きついた。