あなた色に染まりたい
プロポーズ
ピンポーン…
「……ん…」
インターフォンが頭に響いて、目が覚めた。
なんか、頭がズキズキして……
手の甲を額に当てる。
あれ……?
何かある。
「え!?」
冷えピタ?
何で?
こんなもの、うちにはなかったのに……
「おはよ……体の調子はどうだ?」
誰もいるはずのないこの部屋で、男の声がする。
慌ててその声の方を振り向くと……
「大輝!?な、なんで?」
なぜか、ベッドのすぐそばで、大輝があぐらをかいて座っていた。
ピンポーン…
再び鳴ったインターフォンに、誰かが来たとは思ったけれど……
でも今はそれどころじゃない。
「どうして、ここにいるの?」
「俺、まだ紗羽んちの合鍵持ってた。」
「は?」
合鍵って……
三年前に渡したもの?
まだ、持っていたの?
「何回インターフォン鳴らしても出ねぇし、鍵持ってたから開けてみたら、紗羽苦しそうに唸ってるし、熱計ったら39℃あるし……」
39℃!?
あたし、そんなに高い熱を出したの!?
ピンポーン…
「あ」
「俺、出よっか?」
「は?ダメだよ!」
「でも…紗羽歩ける?」
「歩く」
意地でも……
大輝に出てもらうわけにはいかない。
ベッドから降りて、壁を伝いながらゆっくりと歩く。
「大輝はついてこないで……そこにいて」
一応、念を押しておいた。