あなた色に染まりたい
もう二年も経つのに……


なんでこんなに好きなんだろう。


あたしの中じゃ、もう二年じゃなくて、まだ二年なのかな。




「紗羽、着いたよ」


「うん、ごめんね」


「謝らないの」


「うん」




悟のアパートに入って、まず先に顔を洗った。




「空気悪くしてごめんね」




みんながいる部屋に、顔だけを覗かせながらそう言うと



「だから謝らないの。夫婦漫才やってやらないよ?」




なんて、この場を和ませようと、美香が冗談混じりに言う。




「何だよ、夫婦漫才って?」




何のことだかわからない悟は、少し眉を潜める。




「紗羽が、悟とあたしの夫婦漫才を見ながら飲みたいんだってさ」


「は?」




悟はさらに険しい顔を見せる。




「いや、普通にしてくれていいよ。美香と悟は普段から夫婦漫才だから。あはは」


「何だとっ!」




あたしが冗談混じりに言った言葉に、悟が即座に反応した。


そんな悟を無視するように、美香が飲み始めた。
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