あなた色に染まりたい
その一言で、はっきりと思い出した。


あたし、昨日蓮に嫌われたんだった。


何で部屋に来てくれたの?


拳を作った手に、ぎゅっと力を入れてから口を開く。




「蓮……あたしのこと、嫌いになっちゃったんでしょ?」


「なってねぇよ……」


「でも……離れないって言ったのに、離れたもん」




昨日のことを思い出して、涙が出そうになる。




「違う……つか、大輝さん、帰ってもらえます?」




蓮はベッドで寝ているあたしの頭をやさしく撫でながら、蓮の後ろにいる大輝に言った。




「俺、紗羽に話あって来たんだけど」




話?


昨日、あれだけ話したのに、何の話があるんだろう。


大輝の話が気になりながらも、昨夜のことで“違う”って言った蓮の話も早く聞きたいって思う。




「じゃあ三分で終わらせて下さい。それから俺もここで聞いていますから」




蓮はそう言って、身を引くように少しベッドから離れた。


それと同時に、大輝が二歩ほどこちらに歩み寄ってきた。




「三分?みじけぇな。じゃあ早速言わせてもらうよ。

紗羽……卒業したら、俺と結婚してくれないか?」


「え……」




結婚!?


予想外の言葉に、目を見開いて固まってしまった。


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