あなた色に染まりたい
「でもいつの間にか、記憶なくすことがなくなったなぁ」


「そんだけ飲んでたからな」


「うん」




あの頃は、飲んで嫌なことを忘れられたわけじゃないけど、飲まなきゃやってられなかった。




「さ、飲み直すぞ」




そのあともひたすら飲んだ。


気付いたらやっぱり蓮にくっついてた。




「れーんー」


「紗羽、もうやめとけ」




そう言って、蓮はあたしの手からビールを抜き去る。




「えー、何でー?」


「何ででも」


「じゃあ……もう寝る」




手持ちぶさたになった瞬間、睡魔が襲ってきて……


そのまま蓮の足を枕にして横になった。


いつものように蓮の大きな手で、髪を優しく撫でられる。


気持ちいいなぁ……


ゆっくりと、目を閉じた。


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