あなた色に染まりたい
「ごめん……あたし先帰るね」




一向にこっちへ来る気配がない蓮を待てなくて、先に帰る準備をした。




「じゃあ……俺、送るよ」




晴希はそう言ってくれるんだけど……


蓮に“男の部屋に一人で行くな”と言われたことを思い出した。


車の中の二人きりはいいのかなぁ……




「ごめん、一人で帰る」




結局、その優しさに甘えることはできなかった。







部屋に帰って、ベッドにダイブし、枕に顔を埋める。


やだなぁ……こんな自分。


今日の蓮は、大学からそのままバイトへ行くし、あたしが早めに寝ちゃえば、こんな醜いあたしを見せなくていい。


だから……


この日は蓮が帰ってくる前に、眠りに就いた。





それからも蓮には何も言えなくて、だからといってあの状況を直視することもできず、痛い胸を抱えながら日々を過ごした。


ただ、蓮との時間は今までどおりちゃんとあったし、それは救いだったのかもしれない。


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