あなた色に染まりたい



そうこうしているうちに、気が付けば、今日がバレンタイン。


蓮は甘いものを食べてくれるから、昨夜トリュフとマドレーヌを作った。




蓮はモテる。


絶対に渡す子はいっぱいいるんだ。


だから、どうしても一番に渡したくて、朝一で蓮の部屋へ向かった。




ビックリするかな。




蓮の部屋の前で深呼吸をする。


ダメだ、ドキドキする。




あれ……?


ドアが少し開いてる?




ドアノブに手を伸ばして、開けると……




「――ッ―…」




持っている箱を落としてしまった。


その音に振り返った蓮……


でも、あたしは少し後退りしたあと、その場から一気に駆け出した。




「紗羽!」




と呼ぶ声が聞こえたけれど、足を止めずに走り続けた。


目からは大量の涙が、ポロポロとあふれてくる。




胸が痛い…




まるで、フラッシュバック……


大輝の時の二の舞?


蓮が女の子と抱き合って、キスしていた。


< 248 / 423 >

この作品をシェア

pagetop