あなた色に染まりたい
そうこうしているうちに、気が付けば、今日がバレンタイン。
蓮は甘いものを食べてくれるから、昨夜トリュフとマドレーヌを作った。
蓮はモテる。
絶対に渡す子はいっぱいいるんだ。
だから、どうしても一番に渡したくて、朝一で蓮の部屋へ向かった。
ビックリするかな。
蓮の部屋の前で深呼吸をする。
ダメだ、ドキドキする。
あれ……?
ドアが少し開いてる?
ドアノブに手を伸ばして、開けると……
「――ッ―…」
持っている箱を落としてしまった。
その音に振り返った蓮……
でも、あたしは少し後退りしたあと、その場から一気に駆け出した。
「紗羽!」
と呼ぶ声が聞こえたけれど、足を止めずに走り続けた。
目からは大量の涙が、ポロポロとあふれてくる。
胸が痛い…
まるで、フラッシュバック……
大輝の時の二の舞?
蓮が女の子と抱き合って、キスしていた。