あなた色に染まりたい
あたしには男の部屋に一人で行くなって言っていたけれど、蓮は女の子を部屋に入れるんだ。


あたしはダメなのに、蓮はいいの?




胸が痛い……


痛い……


美香……助けてっ……




ポケットに入っていた携帯を開くけれど……


昨日美香が嬉しそうに話していたこと……




『明日から悟とバレンタイン旅行に行くんだ!』




そっか……美香は今日から旅行なんだ……、悟も。




誰か、助けて……




ふと、晴希の顔が浮かんできて、そのまま晴希に電話をかけた。




“紗羽?”


「は、るきっ……たす、けて……うっ…く…」


“紗羽!?どこにいるんだ?”




あたしが泣いているのがわかったからか、凄く慌てた声が耳に届く。


場所を言うと、すぐに晴希はきてくれた。




「紗羽、どうした?しかもそんな薄着で!」




蓮の部屋へ行くつもりだったから、部屋着で出てきた。


晴希は自分が着ていたコートをあたしにかけ、車の助手席に乗せた。




「とりあえず、俺のアパートに向かうけどいい?」




“男の部屋に一人で行くな”




そんな言葉は、あたしの頭の中からすっかり姿を消していて、無意識にコクンと頷いていた。


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