あなた色に染まりたい
何となく顔を上げられなくて、ずっとうつむいていた。


なんか、視線を感じる。




「紗羽さん……俺じゃ支えになれない?」


「えっ?」




突拍子もない言葉に、思わず顔を上げて蓮を見た。




「何言ってんの?」


「何があったかわからないけれど、今の紗羽さんは美香さんと悟さんに支えられてる気がする」




うん、その通りだよ。


美香と悟がいなかったら、今頃あたしはどうなっていたかわからない。




「二番目、三番目でいいから……いや、ほんとは一番とか、悪くても、美香さんと同じ位置がいいけど。俺、紗羽さんを支えたい」




真剣な眼差しで、そう言ってくれる蓮にトクンッと胸が鳴る。


でも……


あたしは、そんなことしてもらえるような……そんな女じゃない。




「蓮……あたし、面倒臭いよ、ほんっとに面倒臭いんだよ」




蓮の瞳を真っ直ぐに見て、そう訴える。




「俺、紗羽さんのこと好きだよ。だから、面倒とか思わない」




えっ……、好き!?




「あ、コクっちった……はは」




照れ笑いしながら、右手で後頭部をポリポリ掻いてる蓮が、凄くカワイイ。


さっきまで、緊張していた空気が、一気に緩んだのがわかる。




「ぷっ、蓮っておもしろいね」




思わず笑みがこぼれてしまった。


でも……




「ねぇ蓮、二年だよ?二年も同じ涙を流す女だよ?こんな面倒臭い女はいないよ」
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