あなた色に染まりたい

「ヤってない」とは言えない……


あそこまでしたら……、あたしの方が浮気だよ。


何であんなことしちゃったんだろう。


せっかく蓮の気持ちがわかったのに……


やっぱり、振られちゃうのかな。


言葉にならないあたしの横で、晴希が口を開く。




「蓮……最後まではヤってねぇよ。途中で、紗羽が“やっぱり蓮が好き”つって泣きだしたんだよ」


「……途中って、どこまでだよ？」




苦しそうに言葉を吐き出す蓮に、あたしの胸も痛くなる。


あたしが、蓮を傷つけているんだ。




「なぁ蓮、ここまでなら今まで通り付き合うとか……これ以上やってたら別れるとか……そんなのあんの？」


「……別れるつもりはねぇけど」




はっきりとそう言った蓮に、心底ホッとした。


ほんとは、そんな資格ないはずなのに。




「じゃあ聞く必要ねぇじゃん。今回のは、紗羽は悪くねぇ。俺が弱った紗羽に付け込んで抱こうとしただけだ」




晴希？


何、言ってるの？


あたしだって、拒まなかったんだよ？




「ちが…「紗羽！」


晴希の言葉を否定しようと出した声を、晴希がさえぎった。


そのあとあたしの方を見て、何も言うなと目で訴えてくる。


何で晴希は、自分だけ悪者になろうとするの？