あなた色に染まりたい
「……にしても、あと一週間かぁ。早かったなぁ、四年間」


「そうだね、それなりに楽しかったよね」




悟と美香がそう言うけれど……




「あたしはあの二年間をやり直したい……」




大輝に裏切られてからの、あの二年。




「紗羽」




美香があたしをぎゅっと抱き締めてきた。


そんな美香の温もりを感じていると……




「でも、美香と悟とは濃い濃い二年間になったから……いっか」




今は、心の底からそう思える。




「さわぁー!」


「ふふ……美香は泣き虫だね」


「紗羽には負けるけどね」




泣きながら抱きついている美香に言った言葉は、すぐに跳ね返された。


確かに、そうだ。


あたし、美香と悟の前では散々泣いたんだ。




「はは……」




もう、笑うしかない。




「蓮はあと三年あるんだな……まだ遊べるなんて、すっげぇうらやましい」




晴希がため息混じりに言った言葉に、蓮は一人眉を下げながら予想外の言葉を放つ。




「俺は早く卒業したいです」


「まだ一年しか経ってねぇじゃん」




そうだよ、まだ一年。




「蓮くんはあれでしょ?紗羽と対等にいたいからでしょ?」


「はい」




ゆっくりこっちに向けられた蓮の視線に、胸がぎゅっと締め付けられる。


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